歯磨きでウイルス感染予防!
北からは紅葉の便りが届く季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか… 長谷川歯科医院 院長 長谷川智子です。
毎年10月になると金木犀の甘い香りに街中が賑やかに包まれます。爽やかな秋の訪れを感じつつ、なぜだか少々寂しさも覚える今日この頃です。残念ながら今年はハズレ年だったのでしょうか?あっ匂っている、と悟った数日後には芳香を感じなくなり、鮮やかなオレンジ色もあまり目に飛び込んではきませんでした。期待通りにはいかない、植物も人も同じですね。
金木犀の代わりに猛威を奮っているのがウイルスです。コロナ・インフルエンザ・アデノウィルス… 感染予防には手洗い、うがい、そして最近注目されているのが歯磨きです。歯磨きをおろそかにしていると虫歯や歯周病の原因となる細菌が増殖しプラーク(歯垢=バイオフィルム)となります。プラーク中の細菌はプロテアーゼと呼ばれる酵素を出し、プロテアーゼにはウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする特性があります。口の中が不潔な状態を放置しておくとプロテアーゼの量が増え、病気の発症や重症化を招きやすくなるというわけです。
歯磨きに使用する歯磨剤、こちらの成分(ex.ラウリル硫酸ナトリウム)にも重要な役割があり、ウイルスの生体への結合や侵入をブロック、また既に口腔に感染しているウイルス量を減少させることも期待されています。
そして口腔を潤す唾液、唾液中にはウイルスをブロックするIgA抗体が認められ、IgA抗体が効果的に働くには口腔が清潔であることが大切になります。
ニューノーマル時代の歯磨剤を用いた歯磨きは、虫歯や歯周病の予防と同時に、科学の力によりウイルス感染対策という新しい役割が見いだされたといえそうです。
家庭での歯磨きに加え、歯科医院での専門的口腔ケアでウイルスから皆様を守る役割の一端を担いたいと願いつつ、来年は金木犀が当たり年、ウイルスがハズレであることを期待してやみません...